2016/06/28
hayatomiya
2016/07/12 更新
車に使われている部品で「サーモスタット」と言う部品はご存知でしょうか?あまり聞き慣れない部品かと思いますがサーモスタットは実は重要な部品です。今回はサーモスタットの構造と重要性、交換が必要になる交換事例を含めてまとめてみたいと思います。
「サーモスタット」とはエンジンの水温(ラジエター液の温度)を適正に保つためについている部品の事です。
これがサーモスタットです
このサーモスタットはワックスペレット型で、車用にはこの形が一般的に使用されています。
なんだか面白い形をしていて、一体どんな作動をするのか想像できません。
まずは構造から説明いたします。
サーモスタット構造図
サーモスタットは大きく分けて5つの部品に分かれます。
サーモスタットが作動する軸の部分になります。
サーモスタットの外郭をなす部分(ボディ)
ジグルバルブと言うエア抜きの為の小さなバルブもこの部分に付いています。
この部分にゴム製のパッキンがついています。水路の開閉をする部分です。
通常はバルブを閉めておくために抑えているスプリングです。
この中にワックスや合成ゴムが入っています。
ではサーモスタットはどんな動きをするんでしょうか?
サーモスタットは温度に反応して動きます。
サーモスタット断面図
右が温まった状態、左が冷えた状態の図です。
冷えている時はペレット内のワックスは固体であり、合成ゴムも圧縮・変形していないのでスピンドルとの間には隙間があり、スプリングの力によってバルブは閉じられています。
温まってくるとペレット内のワックスが溶け出し合成ゴムを圧縮します。そうすると圧縮された合成ゴムが変形しスピンドルを押し出そうとし、その力がスプリングの力に打ち勝つとバルブが開きます。
サーモスタット作動の動画です。
鍋に入れたお湯の温度が上がるとサーモスタットが開いてくる様子が分かるかと思います。
サーモスタットの付いている場所と役割ですが
エンジンのラジエター液の流れ
ラジエター液の流れを示した図です。
水路の途中にサーモスタットがあるのが分かります。
この様にサーモスタットは車のラジエターに付いているホースの入口か出口のどちらかに付いている場合が殆どです。
これはサーモスタットの役割が関係してきます。
エンジンの熱によって温められたラジエター液はラジエターを通過することで冷やされるのですが、冬場やエンジン始動直後はそれでは冷えすぎてしまいます。それを防ぐためにサーモスタットのバルブを開閉させる事でラジエターに流れる水量を調整し温度をコントロールしています。
水温計表示
メーターの水温計の半分位の位置に針がある状態。
この様におおよそ針の位置が半分から少し上位の位置で安定している状態が、サーモスタットが適正に温度コントロールをしている目安になります。
オーバーヒート
エンジンの水温(ラジエター液の温度)が上がり過ぎればオーバーヒートですが・・・
逆に冷えすぎるとヒーターの効きや、燃費に影響が出たりエンジン不調になる場合もあります。
そうならない様にサーモスタットは常にエンジンの水温を調整しています。
ここまでサーモスタットの仕組みや役割等ををまとめてみましたが、その重要性をご理解いただけたでしょうか?
それでは次にサーモスタットの交換が必要になる不具合を説明いたします。
まず最初の交換が必要になる不具合が「開き不良」です。
サーモスタットのワックスや合成ゴム等が劣化して起こりやすい症状で、サーモスタットのバルブが基準温度で開かなくなることでラジエターに適正な水量を流すことが出来なくなり、冷却不足により水温が上昇してしまいます。
この様な時はサーモスタットの交換が必要です。
水温計上昇
サーモスタットのバルブが開かなくなり水温が上昇した状態です。もう少しでメーターを振り切りそうです。
ここまで水温が上がるとオーバーヒート(ラジエター液の沸騰)になり、エンジンルームから水蒸気が上がることもあります。
最悪の場合はエンジンにダメージを与える場合があるので、こうなる前の交換や修理をお勧めします。
次のサーモスタットの交換が必要になる不具合が「閉じ不良」です。サーモスタットのスピンドルの不具合やバルブのパッキン、合成ゴムの劣化等で起こりやすい症状です。
サーモスタットのバルブが完全に閉じなくなりラジエター液が常にラジエターに流れるために、エンジンの水温が上昇しずらくなります。
冬場の凍結
エンジンの水温が上昇しないだけなら問題ないと思われるかもしれませんが・・・
問題があるのが冬場です。車のヒーターはラジエター液を利用して温めているので、水温が上がらないとヒーターは効きずらくなります。
冬場にヒーターの効きが悪いと当然寒いですし、ガラスの凍結を溶かすことが出来なくなるなどのトラブルが生じます。この場合もお早目の修理や交換をお勧めします。
上記以外にも交換が必要となる場合や目安なのですが、やはりサーモスタットも消耗部品として考えると一定の期間で交換した方がトラブルも未然に防げます。距離的には10万キロ、年数も10年を超えるようであれば交換した方が良いかと思います。
その他ラジエターに関する修理が生じた場合も、よほど年式や距離が低くない限りは同時に交換した方がトラブルも未然に防げますし、費用もサーモスタットを別に交換する場合よりも低く抑えられる可能性もあります。
※ここまで交換の必要になる不具合や目安を紹介いたしましたが、これらの症状がすべてサーモスタットが原因とは限りません。車の不具合の診断はしっかりとした整備士がいる整備工場にお任せした方が無難です。
さて次に、交換に必要になる費用はどの位なのでしょうか?
交換に必要な部品と部品代
当然ですが車種によって異なります。
おおよそサーモスタットで1500円前後から、そこにガスケットが数百円と交換する時に抜けてしまうラジエター液も交換が必要になります、これが3000円前後位になるかと思います。
その他交換時に必要となる部品が発生する場合もあります。
これも車種によって異なってきますが一般的に6000円前後でしょうか?最近の車はエンジンルーム内が狭いので交換しづらい車が多いので工賃も高くなりがちです。
トータルしますと交換に必要な費用は10,000円位からになると思われますが、やはりこの辺りも車種によって幅がありますので整備工場でしっかりと交換見積りされた方がよろしいかと思います。
ここまでサーモスタットとはどんな部品なのか?交換が必要になる場合とは?と言う事でまとめさせていただきました。これが全てではないのですが、サーモスタットはエンジンの水温を保つために重要な役割をしている事をご理解いただけたと思います。
車の修理はプロにお任せを
最終的な交換の判断はしっかりとした整備士にお任せした方が良い思います。
最近の車はエンジンルームが狭くて分かりづらく交換もプロにお願いしないとできない場合が多く、トラブルの原因がサーモスタットではない場合もあります。
今回のまとめはあくまで目安ですので、後々のトラブル防止にも是非プロの診断を!
この記事に関する記事
Copyright© 運営事務局